この日はバーで知り合った子とアポ。
21歳でJD。バイトでキャバクラに勤務している。
8月下旬にコンビで声掛け。
しかし、問題があった。
正直顔をあまり思い出せない。
アポ相手はプリクラをLINEのアイコンに設定してるけど、少し分かりにくい写真だった。
それでも何とかなるだろうと、アポ当日を迎える。
LINEのやり取りは短文で、顔文字や句読点もあまり使われていない感じだったので食い付きは正直ないだろうなっていうのが体感だった。
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新宿のアルタ前にしていたが、人が多いので、少し人の少ない所に誘導。
某所で待ち合わせ。
服装とかの特徴を教えてもらっていたので、あの子かな?という感じで声掛け。
「○○ちゃん?」
彼女は顔を見上げる。
あれ、こんな子だったかな?というのが率直な感想だった。
バーで声掛けた当初は茶髪でショートヘアを伸ばしたくらいだったが、この日は黒髪でボブ位になっていた。
そして思っていた以上に可愛かったので驚いた。
橋本環奈に少し似ている。
もちろんそういった素振りは見せないし言わない。
小柄だが、あと7~8センチ身長があればスト高と言って良いと思う。
「俺の事覚えてる?」
率直に聞いてみた。
「正直覚えていないです。」彼女は苦笑しながらそう言っていた。
「え?マジか。会っても思い出せない?」
「思い出せないです。」
こういうのは初めてだった。
無理もない。
説明するのが難しいが、コンビで声掛けした際も、人が多くて狭かったし、お互いの顔をちゃんと見れる感じで話せなかった。
だからこそ俺もLINEのアイコンを見ても確信が持てなかった。
だったら頭を切り替える。
お互い覚えてないんだったら、連れ出しだと思えば良い。
「何だか出会い系みたいだな。」と軽くネグを飛ばして、居酒屋へ行く。
L字の半個室でギラつくのは難しく無さそう。
ドリンクを注文し、お互いの事を簡単に話す。
俺はバンゲした際に家に帰ってその子の特徴や話した内容を簡単にエクセルにメモしてる。バンゲの数が多くなると、どんな事を話したか分からなくなるからだ。
前日にそれを見返すと、彼女の事はこう書いてた。
「彼氏とは別れた。原因は投資で一発当てたいからとかとか言ってたから。」
こんな事が書かれてた。
思い出した。
そうだった、「彼氏とはまだ別れて間もなく、投資で一発当てるとか、そういう所が不安だった」みたいな事を言っていた。
その話を振ってみる。
すると、「はい。月曜に別れたばかりです。」と、か細い声で言った。
え?
一瞬理解出来なかった。
あー、なるほど。「投資の彼」の後に「新しい彼」と付き合ってその人と短期間で別れたのかなと。そう解釈した。
彼女にその事を伝えた。
すると、「いえ、その彼です。」と返答が。
「投資の彼?」
「はい」
つまりこういう事だった。
実際は彼氏はいたが、別れたなんてことはなく、ラブラブだった。しかし、本当につい3日前。月曜日に別れた。
あの時は一緒に居た友達が彼氏と別れたばかりで傷心中でその愚痴を聞いてあげてた。
そこで彼氏と上手くいっている事を言うと、友達に悪いし、空気を読んで彼氏が居ない設定にしたとの事。
こういうのも初めてだった。
彼女も少しずつバーで会った時の事を思い出して来ていた。
男をあしらう為に、「彼氏が居ないのにいる設定にする」っていうは聞いた事あるが、「彼氏が居るのに、いない設定にする」っていうのは初めて聞いた。合コンとかではよくある事なんだろうけど。
彼女はどんよりした表情だった。
少しずつ深掘りしていく。
彼とは2年付き合った。20代後半で年上。別れた原因は「起業したいから。」との事。
実際に投資はやっているらしい。
その2年間浮気はもとより、合コンも男と二人で飲んだ事もないとの事。
そして出会ったきっかけはナンパだったとの事。何処で声掛けられたかは覚えてないと言っていた。
あー、ナンパだし、そんな別れた原因なんて建前じゃないかと内心思いながらも、少しずつ話を引き出す。
起業したいというのは本当で彼の母親からも心配されているらしい。
そして、その母親はもとより、関西に住んでいる彼の両親にも旅行ついでに会いに行った事があるとの事。
そして彼女の両親にも彼は会った事があると。
彼に女の影がなかったか?起業したいなんて嘘じゃないかというのをやんわり聞いたが、「絶対ではないけど、それはないと思います。」と返答が。
少しずつ酒も入ると彼女は泣き出してしまう。
余談だが、女性の泣くパターンも様々で、感情的に泣き続けるのもあれば、少し泣いて落ち着いて、少し泣いて落ち着いてを繰り返すパターンなど色々ある。
彼女は後者だった。
昨日は勤務先のキャバクラで2年位指名してくれてるお客さんに事情を話して店で一緒に泣いてもらったとの事。
社長からプライベートを店に持ち込むなと電話でメチャクチャ怒られたと言っていた。
指名客が40代が多いらしい。なので店では出会いを求めていない。
また合コンは好きではないとの事。その辺は俺と意見が一致した。
もう少し別れた原因を深掘りすると、彼の意志は固い。現在はとある企業で働いていて、週末起業から初めて徐々に独立したい。
そうすると忙しくなるし、何より彼女に頼りたくないという気持ちがあったとの事。
よくあるセオリーで彼氏の悪口みたいな事は言ってはいけないというのがある。
しかし、こう言った場合、肯定し過ぎも良くないかなと思い、「ちょっと勝手だよね。」と言ってみる。
彼女は「そうなんです。頼ってくれて良いのに。」と絞り出すようにつぶやいた。
ここまでの所、IOIはほとんどなかった、年齢、職業、元カノとよりを戻した事があるか、タバコ吸わないのか、くらいか。
仕事の話から、彼女の生い立ちを聞いて行く事にする。
彼女はなんと三つ子だった。リアルで会ったのは初めてだろうか?
東北出身で、三人とも現在大学生。
当然だが、学費などお金が掛かるので、仕方なくキャバで働いている。
なぜ仕事の話から生い立ちになったかと言うと、彼女は3年で来年から就活が始まる。
そこでどういった業界に行きたいかと聞いたら、「定年まで働けるところ」と言っていた。
また「小さい頃抱っこされた記憶がない」と言っていた。
両親とも働きづめで構ってもらえなかった。
特にそんな母親の姿を見ていたので、女性でも働くのが当たり前だという意識が強い。
専業主婦とかありえないと言っていた。
少し感動してしまった。
しっかりしているなと。
そういう部分も当然彼も知っているはず。
「しっかりしてるね。もちろん彼もそういう生い立ちの部分は知ってるんだよね。」
「はい。」
「やっぱり○○のそういうある意味しっかりした部分があるから頼っちゃうっていうのがあったのかな。起業なんて仮に結果が出るにしても3年は掛かる。結果が出れば良いけど、出なかったら借金を背負ったりする。そういうのに○○を巻き込みたくないんじゃないかな。ヒモみたいになっちゃうし。」
「そうだと思います。」
「でも支える事なんて出来るわけじゃん。例えば月に1、2回とかね。」
「そうですよね。結果が出るには3年は掛かるっていうのは彼とも話してて。3年後に結果が出て落ち着いてたらヨリを戻したいなって。でも私まだ21ですよ。3年経ってもまだ24だし。」
「確かに若いけど、女性の資産価値は年数を追うごとに劣化する。その辺を彼は考えたんじゃないかな?だって、3年も彼氏いないんだよ。同世代の女の子がクリスマスだバレンタインだってウキウキしてる時に一人って耐えられないでしょ?」
「耐えられると思います。」
彼女は頑として首を縦に振らなかった。
一応こうも言ってみた。
「大体アラサーの女性なんかは言うんだけど、20歳そこそこの頃なんて、あんな男に惚れてあれって何だったんだろうってみんな言ってるって。」と言うと、
「一生忘れないと思います。」
これ以上はもう攻めるのは止めた。
北風と太陽で追えば追う程引くだろうなと。
しかし、俺もナンパ師なんで形式的に一応ギラついておこうと思ったが、頭を撫でる程度が精いっぱいだった。
彼女は意図を察したのか、「もう帰りますね。」と呟いた。
テーブル会計だったので、店員が来るまで待つ。
「月曜日○○公園に呼び出されたんです。前々からそういう起業とかの話はしてて、覚悟はしてました。それで話し合って、二人で泣いて。」
「木曜と日曜は必ず彼に会ってました。朝、バイト終わりに彼の家に行って。」
「LINEも毎日やり取りしてました。朝、昼、晩って。もうそれもなくなるんだなって。」
「あんまり顔文字とかスタンプは使わないの?」
「そうですね。」
「去年のクリスマスにペアの指輪買ったんです。それを返そうと思って。彼は別の指に付け直すねって。それで○○のはネックレスにして付けておくねって言われて。。」
また泣き出してしまう。
俺は「え?何それ?訳わかんないな。」と率直な感想を言った(笑)
「そんなに辛いんだったら、少し時間空けて彼に連絡してみたら?負担にならない様に、一か月に1回とか2回で良いから会いたいって。」
ちょっと突き放す感じで言った。
会計して店を出て、駅まで送った。
「家では結構飲みますね。一人でも飲みますもん。」
「肝臓悪そうだね。」
「あと肺も真っ黒かも。タバコ吸わないんですけどね。副流煙いっぱい吸ってるから。」
「店は大きくないの。」
「はい、小さい箱ですね。」
そう呟く彼女を見ていて、色んな意味で切なくなった。
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本当にナンパっていうのは色々な事象が起こるから面白い。
結果的にゲットもギラも出来ない事をこれだけの長文で書いたのはやはり珍しい経験だったからだ。
またこの彼がナンパクラスタの人間ではないかと思ったが、どうも違う気がする。即系ナンパではなく、誠実系で声掛けたんだろうか?ちなみに某俳優似のイケメンだったとの事。
知人でナンパクラスタではないけど、遊び人が居て、この件を話してみた。
「起業したいなんて嘘でしょ?そんなの別れる口実じゃない?」と俺と同じ事を言っていたが、深い内容を話すうちに、「重いなあ。」の一言。
「まあ、基本そういう弱ってる子は無理には攻めないかな。けど、バーで連絡先交換してお互い顔を覚えてないとかもないし、三つ子も珍しいし、指輪の下りも訳わかんないな。俺はそういう子会った事ないなあ。珍しいね。」
「spada君は分かると思うけど、結局何年か経ったら、あれ何だったんだろうってなるって。俺の今の彼女も言ってたよ。21~24歳の時彼氏に捧げたあの時間は無駄だったって。けど、その年代の子は頑なだからなあ。まあ、可愛いんだったらまた連絡してみても良いんじゃない。」
「けど、俺はspada君がたった2時間位でそれだけの情報を引き出した事に一番驚いたわ。」
やはり客観的な意見をもらう事は大事な事だと感じた。





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